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「絵詞に探るモンゴル襲来」行ってきた【國學院博物館】

どうも!「学研まんが・日本の歴史」をバイブルとして育ったappeです。歴史ロマンに興奮する変態です。

 

 

皆さん、昨年は元寇...モンゴル襲来750周年だったのをご存知でしたか?



行ってきましたよ、國學院博物館。聞きましたよ、ミュージアムトーク

めっっっっちゃ面白かったです。

 

 

日本が初めて外国から直接攻め込まれた大事件、元寇−モンゴル襲来 を絵で記録した国宝『蒙古襲来絵詞』。

 

 

この絵巻について、水中考古学の池田榮史教授自ら解説してくださるミュージアムトークと、中世と現代の共通点にに関する考察などについてお知らせしていきたいと思います。



それでは、いってみよ!

非常にウキウキしております



目次

 

ミュージアムトークの老人

実は、ミュージアムトークなるものにはじめて参加しました。



こちらのYouTubeがきっかけで個人的に大注目していた『蒙古襲来絵詞』(の写本)。

池田榮史教授自ら解説してくださるっていうことを知り、「いざ鎌倉」とばかりに週末の渋谷へ馳せ参じたわけですが。

 

 

バス降りるところを間違えて、渋谷を全力疾走するというアクシデントがありながらも(開始時間直前に博物館に滑り込みセーフ)無事、お話を聞くことができました。

 

大盛況です

ミュージアムトークは予約不要。50人ぐらいの人がいたかな。立ち見も20人ほど(私は立ち見)

 

 

私ついつい人間観察してしまうんですけど、私と同じぐらいか10〜20歳ぐらい歳上の方々が多い感じ。

 

 

面白かったのは、服部英雄九州大学名誉教授(今までの解釈を覆す説を提唱している)の話が出た時、私の隣に立っていた爺さんが「フッ」と鼻で笑って、去っていったこと。

 

・・・怖っ

 

 

服部英雄教授が嫌いなんですか?



クイズ!大人の遠足

ここで皆さんにクイズです。元の軍船のヘリにくっついている格子と、穴が空いた板は何に使っていたか、わかる?

この牢屋のようなものはなーんだ?



この格子は、ニワトリを入れるもの!二ワトリを連れてきた理由は不明だそう。食料だったのか、時告げ鳥として必要だったのか、生贄的な何かなのか。



ちなみに、モンゴルの軍船が朝鮮半島の港を出て日本に到着するまで1日しかかからないらしい(潮汐と風向きの関係で)

個人的には「長期遠征だから生きた食料が必要、ってわけでもなさそうだなあ」と思います。

 

 

中世の戦争だから、上陸したらそこら辺の村を襲って強奪すればいい、という考えだろうし

 

板に丸い穴が2つ。これなーんだ?

 

そしてこの穴の空いた板は・・・トイレ!

海にどぼん。これで船が衛生的に保てる笑



気軽に解説してくれる池田榮史教授

ミュージアムトークが終わった後、舐めるように展示物を堪能する歴史好きの間を歩き回って、気軽に質問に答えてくれる教授。これがめっちゃ良かった。

 

 

質問する人々はものすごく鎌倉史に詳しい人ばかりじゃなくて、私みたいに単に興味がある素人がほとんどだったのだけれど、何でも答えてくれる。



私ゲームやらんから全然知らなかったんだけど、「ゴースト・オブ・ツシマ」っていう、元寇を題材にしたゲームがあるみたいで、その話を聞いている人がいました。

ちなみに教授はゲームのことはわからないそうです笑

 



こんな漫画もあるね。読んでみたい

 

絵詞から当時を読み解く

前回の記事でも書いたんだけれど、元軍は高麗(朝鮮半島)中国(元が滅ぼした、南宗の漢民族、金という国の女真族)などの多国籍軍だったんだけれど、



ちゃんと描きわけられてるの。

顔を見ると、いわゆる漢民族朝鮮半島の民族の顔と、西域系の人がいる、というのがわかる。

現物はなかなかに生々しくて、わかりやすいです



鎧を着ていない人がいるけど、これは船の漕ぎ手。

 

 

日本もモンゴルも漕ぎ手は鎧を着ていないが、これは「非戦闘員は攻撃しない」という約束事があったから、らしい(うっかり爆発や倒壊に巻き込まれて死ぬことはあったと思うけど)

 

 

ジュネーブ条約以前の中世も「国際法」的な考え方があったのか?びっくり。

日本側も

モンゴル側も

まあ、重装備の鎧を着ていたら船なんて漕げませんけどね、と池田教授。

 

 

ドラを持っているモンゴル兵がいるけど、理由は「多国籍軍は言葉が通じないから音で指示を出す」からだそうで。

 


オスマン・トルコの行進曲と一緒だ

 

 

まあそういう意味では、ほんの80年前の原爆投下も沖縄戦も立派な国際法違反ですね・・・文科省資料

 

みんな大好き歴史ファンタジー⭐︎

 

皆さんは「陰陽師」っていう小説や漫画、映画は知ってますか?

水戸黄門鬼平犯科帳は?

新撰組忠臣蔵は?

最近のところで言えば、呪術廻戦は?

 

 

これに限らず、ベルサイユのバラも王家の紋章も、全てに共通するところは「後世に残るような、人々が繰り返し楽しむような、歴史的事実を背景にした面白い創作」なんだけれど




どうやら「日本がモンゴル軍に神風の力で勝利した」という話も、「台風という事実を基にした人間の解釈」らしい。

なんと、(ちょっと盛ってるけど)事実を記した蒙古襲来絵詞に「神風」という言葉は一切出てこない。



代わりに、その時代の物語に「日本を我が物にしようとする大魔王を、観音の申し子の主人公が神仏の力を借りて撃退する」というものがある。

 

 

話が面白いほど、影響を受けるほど、どうしたって、「神のおかげでは?」「これは神風」「神風ありがたや」っていう風な共同幻想になっていきますわな

 

 

(それにしても、どこかで散々聞いたことがある設定・・・日本を我が物にしようとする悪の組織を、不思議なベルトの力を借りた主人公が撃退していくっていう話、もう50年続いてますよね)



 

・・・いつの時代も人間変わらんなあ。



「神風」が利用されるのは⚪︎⚪︎の時

「神風で日本が勝った」エピソード、常に注目されるわけではないようです。

日本って信じられないぐらい恵まれた国で、二千数百年間のうち、国家として対外戦争をしたのは数回(海賊の略奪みたいなのは結構あった)

 

 

大化の改新の時代(朝鮮半島の国に「助けて」と言われたから出兵)645年

   ↓

約600年対外戦争ナシ

   ↓

元寇(モンゴル軍による征服戦争、防衛戦)1274年

   ↓

約300年対外戦争ナシ

   ↓

豊臣秀吉の時代(出兵の理由は未だに謎。秀吉死んで即終了、引き揚げ)1592年

   ↓

約300年対外戦争ナシ



言うて戦勝国にも敗戦国にもなった経験が少なすぎるというか、そりゃ神仏を担ぎ出すのはもう人間だから仕方がないというか・・・、



「神風が国難を助ける」という鼓舞エピソードが大きく表舞台に出るのは、対外戦争に直面した1894年の日清戦争、そして第二次大戦時なのです。

 

 

一言で説明することができないぐらい原因も結果も複雑ですが、神風という言葉が利用され、悲劇的な結末を迎えた事実は皆さんもご存知でしょう。

 

事実のみを見よ

アメリカと中華人民共和国の経済・諜報戦争は既に勃発し、北朝鮮の爆弾は日本海に頻繁に落とされ、台湾侵攻の可能性もあると言われている今現在。

 

 

私が生きている間に、日本が「対外防衛戦」だけでなく「同盟国の防衛戦」に直面する可能性はゼロではないと思うんですよね。



「神風」という妄想が再び大きく登場する日が来るんでしょうか?なんて考えちゃいます。

 

 

死を強要するために使われるのはもってのほかとして、アクセス稼ぎのために取り上げられるのはなんか腹が立つなぁ。



物語は物語で楽しみましょうよ。事実を冷静に審査して決断しましょう。



まとめ

というわけで今回は國學院大学博物館のミュージアムトーク「絵詞に探るモンゴル襲来ー『蒙古襲来絵詞』の世界」に行ってきた!についてのレポートでしたが、いかがでしたか?



この世というもの、経済、貿易、戦争、仕事、色々なことを知ってた上で改めて歴史を見ると、より面白く感じるよね。

 

 

これからもゆるく楽しくお出かけしていきたいと思います。

それではまた!